消費者庁【栄養機能食品に関する検討会 取りまとめ案】
投稿日:
2026.04.11
更新日:
2026.04.11
2026年3月17日、ガイドライン策定のための基本資料が提出されました。今後、制度設計がどのように変化するのか、検証しました。一般的に、このようなガイドライン変更タイミングは、ビジネスチャンスが生まれます。我々にとって新しい可能性が広がるのか?
以下、取りまとめ案より
栄養機能食品制度の見直しが示す「安全性重視」への転換
令和7年度の「栄養機能食品に関する検討会取りまとめ(案)」は、単なる数値改定ではなく、制度全体の思想転換を示す重要な内容となっています。企業にとって注目すべきは「安全性の確保」。これまで以上に強く打ち出された点です。
栄養機能食品制度は2001年の創設以降、一定の見直しは行われてきたものの、特に上限値の設定や機能表示の文言については長年大きな改訂がありませんでした。しかし今回の見直しでは、現行の食事摂取基準との整合性や、科学的エビデンスとの乖離が指摘されたことを背景に、制度の根幹に踏み込んだ整理が行われています。
中でも企業実務に直結するのが、上限値の算出方法の見直しです。従来は「UL(耐容上限量)から平均摂取量を差し引く」といった考え方が用いられていましたが、今回の案では「ULから日本人の摂取量の上位1パーセンタイル値を差し引く」という、より厳格な基準が採用されています。これは、一部の高摂取者も含めたリスクを前提とした設計であり、「大多数が安全」から「ほぼ全員が安全」へと考え方がシフトしたことを意味します。
この変更は、実際の配合設計に大きな影響を及ぼします。例えば、銅は上限値が6.0mgから4.6mgへと引き下げられるなど、一部成分では明確な規制強化が見られます。これまで上限付近で設計されていた製品については、見直しが不可避となるでしょう。一方で、亜鉛など一部成分では数値上の増加が見られるものの、算出ロジック自体はより安全側に寄っており、単純に「緩和」と捉えることはできません。
また、もう一つの重要な点が「機能表示の文言」です。これまでの表現は20年以上前の栄養所要量を基にしており、現在の食事摂取基準や科学的知見との乖離が指摘されています。今後、表示可能な機能文言が見直されることで、広告表現やパッケージ表示にも影響が及ぶ可能性が高く、マーケティング部門にとっても無関係ではありません。
今回の取りまとめにおいて、新規の栄養成分追加は行われていないものの、既存制度の運用精度が大きく引き上げられる方向性が明確になりました。これは裏を返せば、「制度の枠内で安全性と訴求力を両立させるか」という、より高度な商品設計と表示戦略が求められる段階に入ったとも言えます。
企業としては、単に基準値の変更に対応するだけでなく、今後の機能表示改訂や規制運用の厳格化を見据えた中長期的な対応が不可欠です。特に、配合設計・表示・広告の三位一体での見直しが、これからの競争力を左右する重要な要素となります。
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