「※個人差があります」が通用せず措置命令|打消し表示の摘発事例を解説
投稿日:2019.01.21
更新日:2026.08.11
🎯 この記事のポイント
「※使用感・結果には個人差があります」——この打消し表示を付けていたダイエットサプリが、景品表示法(優良誤認)で措置命令を受けました。打消し表示に関するガイドラインの施行後、「注釈を付ければ大丈夫」が通用しないことが、実際の事案ではっきり示されたケースです。何がNGだったのか、そして体験談を使う際に必要な3項目まで、事例をもとに解説します。
背景|打消しガイドラインと、予測されていた摘発
消費者庁は平成30年6月7日、「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」を公表しました。これにより、「※個人の感想です」などの注釈で誤認を打ち消せるのか、という点に厳しい基準が示されました。
ガイドライン公表からしばらくして、実際の摘発事例が登場します。注釈表示に頼った広告が、そのままでは通用しないことが、行政処分という形で現実になったのです。
事案の概要|ダイエットサプリへの措置命令
消費者庁は平成31年1月17日、ある健康食品会社が供給するダイエットサプリについて、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に該当するとして、同法第7条第1項に基づく措置命令を行いました。
広告では、「酵素・酵母・乳酸菌の発酵パワーでダイエット」といった記載や、食事の画像とともに配合成分を強調する記載などにより、「本件商品を摂取するだけで、特段の食事制限をすることなく、含まれる成分の作用により、容易に痩身効果が得られる」かのように示す表示をしていた、と認定されました。
消費者庁は表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求めましたが、提出された資料は合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。
核心|「※個人差があります」は打消しにならなかった
この事案で特に重要なのが、打消し表示に関する認定です。事業者は自社ウェブサイトにおいて「※使用感・結果には個人差があります。」と記載していました。しかし消費者庁は、この記載は、一般消費者が表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではないと判断しました。
つまり、「効くかのような表示」+「※個人差があります」という組み合わせでは、誤認は打ち消せないことが、行政処分で明確に示されたのです。これまで業界で「問題ない」と判断されてきた注釈表示が、一切意味をなさない——そうした事態が現実になりました。
体験談を使うなら、この3項目を明記する
一部の都合の良い体験談のみを引用する手法は、不当表示となり得ます。「個人の感想です」「効果には個人差があります」といった打消し表示は、それだけでは意味をなしません。体験談によって誤認を招かないためには、次の3項目を明記することが求められます。
- ①被験者数、属性
- ②体験談と同様の作用や実感が得られた割合
- ③体験談と同様の作用や実感が得られなかった割合
✅ 打消し表示チェックリスト
- 「効くかのような表示」を注釈で打ち消そうとしていないか
- 「※個人差があります」で済ませていないか
- 都合の良い体験談だけを抜き出していないか
- 効果が得られた割合・得られなかった割合を示せるか
- そもそもの表示(本文側)に合理的根拠があるか
よくあるご質問(FAQ)
Q. 注釈で「個人差があります」と書けば安全ではないのですか?
安全ではありません。本文が「効くかのような表示」であれば、注釈があっても誤認は打ち消せず、不当表示となり得ます。本事例でも、この注釈は打消しとして認められませんでした。
Q. 打消し表示を大きく・目立つように書けばよいのですか?
表示方法(大きさ・位置)も重要ですが、それ以前に、表示内容そのものが実態に対応していなければなりません。目立たせても、本文の訴求が過大なら解決しません。
Q. ダイエット表示はどこまで可能ですか?
「摂取するだけで痩せる」はNGです。置き換えによるカロリーcoントロールや、運動を前提とした補助など、消費者の行動を前提とした範囲で、かつ合理的根拠を伴う表現にする必要があります。
まとめ
この事案が示したのは、「注釈で逃げる」時代の終わりです。「効くかのような表示」に「※個人差があります」を添えるだけの手法は、もう通用しません。体験談を使うなら、効果が得られた人・得られなかった人の割合まで示す。そして本文の訴求そのものに合理的根拠を持つ。ガイドラインに沿って表現を修正するか、根拠資料を準備するか——事業者に求められる対応は、この2つです。
その注釈、打消しとして機能していますか?
「※個人差があります」を付けても、本文の訴求が過大なら不当表示になります。専門コンサルタントが、本文と注釈・体験談の関係を点検し、リスクの指摘だけでなく、実態に沿った見せ方までご提案します。
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※本記事は消費者庁の公表資料・ガイドライン等に基づく一般的な情報提供であり、個別事案の適法性を保証するものではありません。ガイドラインは更新されることがあります。最新の情報を確認のうえ、個別のご判断については専門家にご相談ください。