ステマ規制とは?景品表示法の措置命令事例と企業対応
投稿日:
2026.07.07
更新日:
2026.07.07
🎯 この記事のポイント
2023年10月に始まったステマ規制(景品表示法第5条第3号)の基礎、「事業者の表示」と判断される3パターン、広告と記事の境界、そして祐真会・RIZAP・大正製薬・高光製薬「ノビルン」まで実際の措置命令事例を一本にまとめました。特に多いのが、SNS口コミや「お客様の声」を自社サイト・モールに転載する二次利用のリスク。企業が今すぐ点検すべきチェックリストとFAQまで、この記事だけで全体像がつかめます。
🔗 この記事でつながる関連コラム
▶ ステマ規制の概要/▶ 広告と記事の違い/▶ 過去投稿の再利用/▶ 比較サイトの検証/▶ インフルエンサー起用のリスク再検証
2023年10月、ステルスマーケティング(以下「ステマ」)が景品表示法上の不当表示として規制対象となって以降、消費者庁による措置命令は着実に積み重なっています。2026年6月29日には、子ども向けサプリメント「ノビルン」「ノビルンC」を販売する高光製薬に対して措置命令が出され、自社サイトに「SNSでも大人気!」として掲載していた第三者の投稿画像が問題視されました。効果や価格の“ウソ”ではなく、「依頼して得た口コミを、広告と分からせずに使った」ことが違反と認定された点に、規制の本質があります。
このページは、ステマ規制の基礎・違反事例・企業の対応を一つにまとめたハブ(総まとめ)ページです。個別テーマは関連コラムへリンクしていますので、自社の販促体制の点検にお役立てください。
ステマ規制とは|景品表示法第5条第3号(令和5年内閣府告示第19号)
ステマ規制とは、事業者が自己の供給する商品・役務について行う表示であって、一般消費者が「事業者の表示(=広告)」であることを判別することが困難な表示を、不当表示として禁止するものです。景品表示法第5条第3号に基づき、令和5年内閣府告示第19号によって指定されました。
押さえるべきポイントは次の3点です。
- 2023年10月1日から施行され、業種・企業規模を問わずすべての事業者が対象になります。
- 問われるのは「効果のウソ」ではなく「広告であることを隠したこと」そのものです。
- 違反が認められると措置命令が行われ、その内容が公表されます(ステマ告示“単独”では課徴金の対象になりませんが、優良誤認・有利誤認を併発した場合はその部分が課徴金対象となり得ます)。
制度の全体像は、規制開始時の解説と概要コラムをあわせてご確認ください。
「事業者の表示」と判断される3つのパターン
「一般の口コミ」に見えても、次のいずれかに当てはまれば事業者の表示(広告)として扱われます。
- なりすまし:事業者自らが第三者を装い、口コミサイトやまとめ記事を作成する。
- 明示的な依頼・指示:インフルエンサー等に商品の特長を伝え、その内容に沿って投稿させる。
- 依頼・指示が明示的でなくても関与がある:無償提供したうえで投稿を依頼し、結果として事業者の方針に沿った投稿がなされた場合など。
一方で、経済的な取引が一切なく、第三者が完全に自主的な意思で投稿した場合や、正常な商慣習に基づく取材記事・書評・番組放送などは、原則として規制の対象外です。判断の分かれ目は「事業者が表示内容の決定に関与しているか」にあります。
違反になる表示/ならない表示(“広告と記事”の境界)
同じ「PR」の表記があっても、消費者が広告と気づけるかどうかで結論が変わります。
違反になりやすい表示(判別困難)
- 広告・提供である旨の記載が全くない
- 大量のハッシュタグ(#)の中に紛れ込ませている
- 動画で一瞬しか表示しない、認識しにくい文言・場所・大きさ・色で示している
- 冒頭に「広告」と書きつつ、文中で「第三者の感想」と記載するなど、全体として分かりにくい
問題になりにくい表示(明瞭)
- 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」など、広く通用する文言で明示する
- 「◯◯社から提供を受けて投稿しています」と文章で明記する
- 事業者自身のウェブサイト、または事業者自身のSNSアカウントでの表示
“広告なのか、記事なのか”という基本の切り分けは、次のコラムで具体例とともに解説しています。
措置命令でたどるステマ規制の実例
施行後、措置命令は大手・中小を問わず出されています。時系列で押さえておきましょう。
- 2024年6月:医療法人社団祐真会 ― ステマ規制に基づく初の措置命令。
- 2024年8月:RIZAP(chocoZAP) ― Instagram投稿を自社サイトに転載。優良誤認(第5条第1号)とステマ告示(同第3号)の両方に該当。▶ 詳細はこちら。
- 2024年11月:大正製薬(NMN taisho) ― 依頼したInstagram投稿を、依頼であることを明示せず自社サイトに掲載。
- 2025年3月:ロート製薬/ダイエットプレミアム ― インフルエンサー投稿を「お客様の声」等として転載し、広告表記を欠いていた事例。
- 2025年9月:味の素(冷凍宅配食「あえて、」) ― 同種の“インスタ投稿レビュー活用”が問題化。ただし措置命令ではなく確約計画で終結。
- 2026年6月:高光製薬(ノビルン/ノビルンC) ― SNS投稿者を募集し無償提供のうえ投稿を依頼、その画像を自社サイトや楽天市場・Yahoo!ショッピングに「SNSでも大人気!」として転載。
大手メーカーが名を連ねた「措置命令」と「確約計画」の運用の違いは、次の記事が参考になります。
これらの事例に共通するのは、SNSやインフルエンサーの投稿を、自社サイトやモール(楽天・Yahoo!など)の商品ページに「お客様の声」「SNSでも大人気」として転載しつつ、PR・広告・提供の表記を欠いていたという一点です。
特に注意|「お客様の声」「SNS口コミ」二次利用のリスク
直近の措置命令が繰り返し示しているのは、依頼して得た投稿を広告として使う時点で「事業者の表示」になるということです。以下は特に見落とされがちです。
- インフルエンサー・一般ユーザーいずれの投稿でも、募集・商品提供・投稿依頼が関与していれば企業広告として扱われる。
- 自社サイトだけでなく、楽天市場・Yahoo!ショッピング等モールの商品ページへの転載も同じく対象。
- 「※個人の感想です」の一文があっても、全体として事業者の表示であることが明瞭でなければ免責されない。
第三者の声を“借りて”見せるなら、その声がどう生まれたかを隠さないこと。依頼して得た投稿を広告に使う以上、事業者の表示であることを明示する――この一手間が、ステマ規制対応のいちばんの近道です。
見落としがちな3つの落とし穴
直接の投稿依頼だけでなく、次の3点も違反につながりやすいポイントです。
1. 過去投稿の再利用
施行日前の販促目的の投稿でも、施行後に再利用(リポスト・転載など)し、事業者の表示と認識できない状態であれば規制対象になり得ます。詳細は以下をご確認ください。
2. アフィリエイト・インフルエンサー経由の管理
外部パートナー経由の投稿は事業者の管理が及びにくく、表記漏れが起きがちです。契約・運用ルールの中に「PR・広告表記の徹底」を明文化しておく必要があります。
3. 成果報酬型の比較・口コミサイト
広告主と経済的な取引(成果報酬)がある比較サイトにPR表記がなければ、掲載を依頼した広告主側が措置命令の対象になり得ます。承諾なく掲載されているケースにも注意が必要です。
✅ 今すぐできる自社点検チェックリスト
- SNS販促・アフィリエイト・比較サイト掲載を全点検し、PR・広告・提供の表記漏れを洗い出す
- 依頼・提供・報酬のいずれかがある投稿は、原則すべて「広告」扱いとして表記を統一する
- 自社サイト・楽天・Yahoo!等に転載した「お客様の声」「SNS投稿」の出所と依頼有無を確認する
- 過去投稿の再利用ルール(そのまま使わない/表記を追記する等)を定める
- インフルエンサー・アフィリエイト契約に表記義務を明記し、運用を管理する
- 広告担当・制作・法務で判断基準を共有し、社内チェック体制を整える
よくあるご質問(FAQ)
Q. 「PR」と書いてさえあればステマ規制はクリアできますか?
表記の有無だけでなく、表示全体から一般消費者が広告と判別できるかで判断されます。文言・場所・大きさ・タイミングが不明瞭であれば、「PR」と書いていても違反となり得ます。
Q. 自社の公式SNSアカウントでの投稿も規制対象ですか?
事業者自身のアカウントでの表示は、原則として「事業者の表示」と分かるため対象外と整理されています。問題になるのは、第三者の投稿を一般消費者の自発的な声のように見せる場合です。
Q. 商品を無償提供しただけで、投稿内容の指示はしていません。それでも対象ですか?
無償提供のうえで投稿を依頼し、結果として事業者の方針に沿った投稿がなされた場合は、明示的な指示がなくても事業者の表示と判断され得ます。
Q. ステマ告示違反で課徴金は課されますか?
ステマ告示“単独”では課徴金の対象にはならず、措置命令が行われます。ただし優良誤認・有利誤認を併発している場合は、その部分について課徴金の対象となり得ます。
まとめ|“どう生まれた声か”を隠さないこと
祐真会からRIZAP、大正製薬、そして高光製薬「ノビルン」まで、措置命令が示し続けているのは「ステマ的な広告手法は許されない」という一点です。第三者の声を広告に使うのであれば、その声がどう生まれたかを隠さず、事業者の表示であることを明示する。自然な口コミと広告の境界をどう明示するかが、今後の販促における最大の実務課題です。
自社サイト・モール・SNS・アフィリエイトの表示に不安がある場合は、専門コンサルタントによる点検が有効です。エーエムジェーでは、違反表現の指摘だけでなく、消費者に響く代替表現(リライト)までご提案します。
🔗 あわせて読みたい・ステマ規制の関連記事
自社の「お客様の声」「SNS口コミ」、表示は大丈夫ですか?
ステマ規制は「表現の白・黒」だけでは判断しきれません。依頼・提供・報酬の有無、掲載場所、表記の明瞭性まで含めて、専門コンサルタントが実際の広告を点検し、消費者に響く代替表現(リライト)までご提案します。
📝 広告チェック・添削・リライト表現アドバイス
違反表現の指摘だけで終わらせず、使える代替案までご提示します。
💬 コンサルティング
表示・広告表現・訴求・商品企画まで、体制づくりから伴走します。
📩 メールマガジン
最新の措置命令・事例をいち早くお届けします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別事案の適法性を保証するものではありません。最新の運用や個別のご判断については、消費者庁の公表資料をご確認のうえ、専門家にご相談ください。
メールマガジン配信中
薬機法(旧薬事法)・景品表示法・健康増進法の最新情報を無料でお届けいたします
